「オトナノカタリバ」は、参加型のゲストトークショー。
多種多様なのゲストの話を聞くことで得られる知識。今後の仕事、つながり、連携していく為の大いなるヒントは、自分自身でアンテナをはることで見つけ易くなります。
なかなか訊けないあんなことやこんなこと。この機会に思い切って訊いてしまいましょう。
なかなか聞けないトークを楽しんだ後は、ゲストも一緒にお食事(飲ん方)を楽しんでいます。鹿児島デザイン協会会員でなくてもご興味のある方はどうぞ。
今回のゲストは映画「花戦さ」原作者の鬼塚忠さん。映画公開2日目、ミッテ10での舞台挨拶のため帰鹿された夜に、オトナノカタリバへお越しいただきました。著作9作のうち8作が映像化(進行中含む)。作家としての、また版権など作家のビジネス交渉をする『エージェント』としての思いや発想の極意が語られました。
会場の「ライフスタイルカフェM(鹿児島市名山町)」では、映画の余韻もありにぎやかなカタリバに。 俳優や脚本などが決まっていく過程の裏話もいろいろ。途中休憩では文庫版「花戦さ」(注1)や最新刊「恋文讃歌」の販売もあり、サイン会で盛り上がりました♪
実は初めての歴史小説「花いくさ」。ご縁のあった池坊の方から聞いた史実『前田邸の大砂物』(注2)に着想を得て、中国映画「さらば、わが愛/覇王別姫に衝撃を受けて抱いた男と男の友情を書きたい思いを実現。池坊専好と千利休の深い親交と、壮絶なドラマを丁寧に描かれています。
日本人の興味は「戦国時代、幕末、太平洋戦争」にあるとも話されました。「書きたい」思いと「売れる」というエージェントの感覚の両方をお持ちで、生かしたい素材との出逢いがあって作品が生まれているのだと感じました。
原作が忠実に映像化されるか全く別物になるか。ソースなどをからめて仕上がる映画では、ご自身の思いが通らないことも。
原作「花いくさ」の平仮名には思い入れがあり漢字に抵抗した、戦に“さ”を送るかどうかでもバトルがあったと。題字は希望の書家金澤翔子さんが実現したものの、鹿屋生まれのミュージカル「花いくさ」(注3)の俳優を最低ひとりは入れたかったが、かなわなかったそうです。
一方で本よりも映画は大変、お金・人材・才能を集める必要がある、ガラッと人生が変わるような華やかなクライマックスが必要というお話も。映画では日本文化の結集(花、茶、書など)もテーマで、クライマックスは自身が最も書きたかった男と男の話ではなく、最後の花をもって秀吉と対峙する場面となっていると話されました。
鹿児島大学では2年休学してイギリスなどへ留学、バブルだった就職活動では会社訪問で支給される交通費を貯めて卒業後は再び海外へ。自ら南日本新聞に交渉し、紀行文を書きながらの世界放浪。
エージェントとしての仕事が先で、ある時ピンチヒッターとして作家の道にも踏み入られた鬼塚さん。清水小→清水中→玉龍高→鹿大と鹿児島市で育ち、とても身近に感じられるのに、その破天荒な人生には本当に驚きがいっぱいです。
私の隣席には、東京で“一緒に勉強”していた仲という方が熊本から駆けつけていらしてました。何の“勉強”か…そこにはまた未知の話が!著作に添えられているプロフィールには収まりきらない人物、まだまだ続きを伺いたいなと思う夜でした。
アップルシード・エージェンシー (http://www.appleseed.co.jp/)
ミュージカル花戦さ(http://www.niraistudio.com/hanaikusa)
photography by Ushio Kubo written by Yoshino Kawanabe